水道水に含まれる塩素の影響とは?浄水について解説!
私たちの生活する日本では、蛇口をひねると水が出てきます。そしてその水のほとんどはそのまま飲用することができます。当たり前のように感じますが、世界でも水道水が衛生上安全で安心して飲用できる国は9カ国しかありません。さらにその安全な水を日常的に利用できる人となると、もっと限られます。
(参考:水資源に関する国際的な取り組み 第7章)
日本の水道水は、なぜ安全に飲用することができるのでしょうか?「塩素が入っているから」だけではありせん。
日常生活を送るうえで必要不可欠な水は、どのように家庭に運ばれるのか、なぜ水道水を飲用できるのか簡単に解説します!
目次
安全な水とは?
国によって基準は様々ですが、3つピックアップしてみます。
- 入手するために危険ではないこと
- 排泄物や化学物質で汚染されていないこと
- 病原菌などの感染リスクがないこと
各国で独自の基準が設けられていますが、日本の水質基準は最も高いといわれています。
例えば「大腸菌」にフォーカスすると・・・
■大腸菌検出基準 | |
---|---|
日本 | 検出されないこと |
WHO | 100mL中に検出してはならない |
アメリカEPA | 5%以下 |
EU | 100mL中に検出してはならない |
日本は「検出されてはならない」と、最も厳しい基準となっています。
安全性と衛生状態を良好に保つことを重要視していると分かりますね。ヨーロッパではミネラル分を一定数値以上にするという日本とは別の基準があるようです。
日本は主にダムが水源となっていますが、ダムの水を飲めるかと言われると・・・ためらってしまいませんか?
どのような行程を経て、高い安全性と衛生状態を維持したまま、家庭に水が届けられているのでしょうか?
水が家庭に届くまで
「蛇口をひねれば綺麗な水」を実現するためにはどのような行程が必要なのでしょうか。順を追って行程を見て見ましょう!
まず、水源(ダムや川)から水を引き入れます。ここで引き入れられた水が、水道水の元となる水です。
水源から引き入れたままの水は微生物や土砂、藻や苔などで汚れています。水源の汚染状況によって必要な行程が変わるため、取水施設は地域によって設備が異なります。
取水施設に引き入れた水は浄水場に送られます。浄水場では、水をろ過して微生物や土砂、藻や苔を取り除き、消毒剤が投入されます。
汚れを取り除く行程はいくつもあり、大きな汚れから順に除去され、各工程で薬剤も投入されます。汚れを集めるための凝集剤、殺菌消毒を目的とした塩素(次亜塩素酸ナトリウム)や、水道管を錆びにくくする消石灰などがあります。
浄水場でろ過・消毒を行った水は、給水場に送られます。給水場では、各家庭に繋がる水道管に水を送る役割を担っています。どの水道管にどのくらい水を送るか、ここで調整されます。住宅街と山間部では送られる水の量も水道管の数も異なります。
また、 給水場には貯水所がいくつも設けられており、まずは貯水所に送られます。貯水所には震災時などにも水を供給できるような設備が整えられています。
給水場から水道管を通り、各家庭に水が届きます。
送水管から配水管に枝分かれして、蛇口から水が出てきます。最大1.2メートル~最小1.3センチメートルまで様々な太さの水道管を通って水が運ばれているのです。
浄水とは?
浄水とは一般的に「衛生上無害な水」とされています。
つまり水道水は、汚れを取り除き、塩素(次亜塩素酸ナトリウム)などで殺菌消毒し、衛生上無害化された「浄水」ということです。浄水場という名前も納得ですね!
皆さんのイメージする浄水とは「浄水器を通って塩素などの不純物を除去した水」ではありませんか?最近では、蛇口そのものに浄水機能が付いていたり、蛇口先端に取り付ける簡易的な浄水器が販売されていたりと、浄水機能が身近にありますよね。
「塩素が入った水を飲むのに抵抗がある」「塩素臭が気になる」という理由で浄水器を取り付けている方も多いと思います。なぜ日本の水道水には塩素が含まれているのでしょうか?
「水道法」という法律があり、そこで塩素の含有量についても定められています。
水道法とは?
水道水を安全に飲用できる国は世界で9カ国しかありません。日本の水道設備は世界的に見てもとても高水準で、水質基準もとても厳しいです。水道法はこの水準を保つため、水質基準(厚生労働省水道水質基準)や取締規則などを定めています。
水道法は2018年の水道民営化によって改正が行われました。今後も安全性と衛生状態を保つために改正されていくかもしれませんね!
水道法は、日本の安全かつ衛生的で安心して飲める水道水を守るための法律です。
塩素はどのくらい含まれている?
水を各家庭まで安全かつ衛生的に運ぶために、塩素(次亜塩素酸ナトリウム)が投入されています。水道法により「残留塩素濃度を0.1mg/L以上」と定められており、どの家庭でも0.1mg/L以上の数値でなければいけません。
塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は浄水場で投入されますが、≪浄水場から1キロ離れているところ≫と≪10キロ離れているところ≫の両方で残留塩素濃度0.1mg/L以上でなければいけません。
0.1mg/Lであれば、どれだけ含まれていても良いの?という問題が出てきますね。
厚生労働省水道水質基準では、「目標値:1mg/L以下」とされていますが、あくまでも目標値のため、正式に定められているわけではないようです。
WHOの飲料水水質ガイドラインでは「体重60キロの人が2リットルを生涯に渡って毎日飲み続けても健康上影響が出ない濃度を5mg/L」としています。
「1Lに5mg」というと、とても多く含まれているように感じますね。
最近は各自治体で、残留塩素濃度低減への取り組みが行われています。
例えば東京都では「0.1mg/L以上0.4mg/L以下」という目標値を定めています。千葉県では家庭に届くまでの距離によって塩素量や投入のタイミングを調整し、高濃度にならないような施策が行われています。
塩素は体に悪い?
水道水に塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を投入する主な理由は、殺菌消毒をするためです。 病原菌や微生物などが存在している水に 塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を投入することで、殺菌消毒され衛生状態に問題の無い状態で家庭まで水を運ぶことができるのです。
家庭の蛇口に水を届けるために塩素が必要という事がわかりますね!
衛生状態を良好に保つという大きなメリットもありますが、発がん性物質といわれるトリハロメタンが発生することや食物などのビタミンを破壊してしまうという心配点もあります。
家庭に届くまではとてもありがたい塩素ですが、その先はどうでしょうか?
水道水の飲用
塩素は、体重60キロの場合1日に摂取量5mg/L以内であれば健康上問題は無いとされています。 そのため現在の日本の水道水であれば日常的に飲用しても”健康上は”問題無いと言えるのではないでしょうか。
夏場に水筒を持ち歩く場合や遠足などでは、塩素を取り除いた浄水ではなく、塩素が含まれている水道水を入れる方が良いという意見もあります。これは水道水に含まれる残留塩素により菌などの繁殖を防ぐことが目的です。
日常的に飲用するのであれば、好きなときに好きな用途に、そしておいしく飲用したいと思いませんか?
お風呂の塩素
お風呂に入るとき「塩素の臭いが気になるな」と感じることはありませんか?
塩素(Cl)の沸点は-34.04℃と、とても低く気体に変化しやすいです。気体になるとよりにおいを感じやすくなります。
お風呂は38℃~42℃と、塩素(Cl)の沸点から考えるととても高温です。
気体になった塩素を呼吸や皮膚から吸収した場合、飲用時の100倍程度体内に取り込んでしまうと言われています。
一般社団法人 浄水器協会によれば、水道水に含まれている残留塩素は肌のタンパク質を酸化させる働きがあり、これにより肌は乾燥しやすくなり「保湿力」つまり「バリア機能」が低下します。 肌のバリア機能が低下すると、隔膜層の乱れにより刺激を受けやすくなります。アレルゲンが侵入しやすくなるため、敏感肌やアトピー性皮膚炎を誘発しやすくなるそうです。
塩素を除去するには?
健康上問題無いとはいえ、水道水をそのまま飲用するには抵抗がありませんか? 飲用する上で、カビ臭やカルキ臭(塩素臭)にはなんとなく不快感を覚えます。浄水やミネラルウォーターが主流な現代です。QOLの向上のためにも、やはりおいしい水がいいですよね。
カルキ抜き
塩素は原水中の有機物と反応して、発がん性が疑われている有機塩素化合物(トリハロメタン)を生成します。お湯を沸かしてカルキを飛ばすという考えが根付いていますが、沸騰することで塩素と有機物はより反応しやすくなります。
沸騰させる時間が10分以内だと、かえってトリハロメタンが発生しやすい状況を作り出してしまうようです。沸騰してカルキ抜きをするのであれば約40分以上沸騰させる必要があります。
レモンを入れる
レモンに含まれているビタミンと塩素が反応し、中和されるため塩素が減少します。ただし、同時にビタミンも減少します。
ビタミン剤のタブレットや粉末で代用することもできるようですが、飲用や料理に使用する場合は味に変化が出るので注意してください。
塩素除去を目的としたビタミン粉末やタブレットも販売されているようです。
もっと簡単に日常的に除去するためには?
日常的に水道水の塩素を除去したい場合、浄水器の取り付けが最も主流な方法になりつつあるのではないでしょうか。
浄水器は「浄水フィルター」で水道水をろ過し、塩素などの不純物を取り除きます。フィルターに使用されている素材は浄水器によって異なり、代表的な素材だと「活性炭」「中空糸膜フィルター」などがあります。
浄水フィルター
水道水から塩素等の不純物を除去する役割を担っています。水道水をろ過して塩素や錆、鉛などを除去します。フィルター(カートリッジ)の処理可能成分(鉛やベンゼンなど)の除去機能が必要かどうか悩んだときは、地域の水道局に相談してみても良いかもしれません。
除去性能が高すぎて味が劣る場合もあるようです。性能と味のバランスがいいものに出会えるといいですね!
浄水フィルターには、必ず成分毎に処理可能量があります。水中には塩素以外にも、水道管から剥がれ落ちた赤サビなどが入っており、物質によって処理できる量が異なります。
浄水フィルターの交換時期は、塩素だけではなく、その他処理可能成分の除去も含めて算出された交換目安です。処理可能成分を問題無く除去できる期間を設定しています。
交換時期を過ぎても塩素は除去できているかもしれませんが、衛生面や塩素以外の除去率も考慮して、交換目安を守って交換するのがベストです。
交換時期を過ぎて使用を継続すると、フィルターで吸着した成分が溶け出してしまうことがあります。
そしてやはり気になるコスト面では、交換時期の目安が短期間すぎないものがいいですよね。
何を選べばいいの?浄水器の種類と特徴
浄水器といってもたくさんありすぎてどれを選んだらいいのかわからない・・・。
様々な浄水器の特徴をご紹介します!
蛇口直結型
蛇口先端(水が出る部分)に取り付けるタイプの浄水器です。
家電量販店やショッピングモールなどでも数千円程度で購入でき、手に入れやすいです。
フィルター自体が小さいため、それに伴い一度にろ過できる水量も少なくなり、勢いよく水を出すと除去率が低下してしまいます。処理水量やフィルターの吸着率などを考慮して使用するよう気を付ける必要があります。
一人暮らしで通水量が少ない方や、まずは浄水器を試したいという方にはピッタリだと思います!
ただし、蛇口の形状によっては取り付けできない場合があるので、必要部品や取り付け可否は事前に確認すると良いでしょう。
ポット型・ボトル型
ピッチャーや水筒のような形状の浄水器です。
水を入れて待つだけで、蛇口につなぐ必要がありません。ただし、容量が500mL~2Lと少ないためたくさん使用したい時は事前に作りおきする必要がありますし、使用量が多い家庭では保管場所が悩みどころです。
冷蔵庫で冷やす事もできるので、ペットボトルの販売水と同じような感覚で使用できますね!
塩素を除去したお水は痛みやすいため、ポット型・ボトル型の場合は24時間以内に飲みきるか、残った場合は交換するよう気を付けなければいけません。
水栓一体型
水栓の中に浄水カートリッジが入っているタイプの浄水器です。
原水と浄水を切替できるタイプが多く、取付け・設置・保存場所が不要でスッキリとした見た目で使用できます。
浄水フィルターの交換が必要で、交換頻度は約3ヶ月程度のものが多いようです。(使用量により異なります)カートリッジの交換を怠ると雑菌が繁殖する危険性があるので、交換を忘れないようにしなければいけませんね。
アンダーシンク型(ビルトイン浄水器)
シンク下に取り付け、新たに水栓(蛇口)を設置するタイプの浄水器で、ビルトイン浄水器とも呼ばれます。
シンクに穴を空け、新たに水栓を立ち上げる工事が必要です。工事費用が数万円程度かかります。浄水フィルター交換目安は約1年で、交換用フィルターは約1万5千円前後が多いようです。フィルター交換時は、元栓のチェックと、残水排出用の桶等を用意しておくと良いでしょう。
据え置き型
蛇口にホースをつなぎ、水道水を器械に送って浄水する浄水器です。
据置型の浄水器には浄水以外の機能が付いている事が多く、性能によって金額の幅は広いです。また、コンセントが必要な場合もあり、取付可否と設置場所を事前に確認してください。そして、浄水フィルターも大きく高性能なものが多く、交換も簡単な場合がほとんどです。飲用だけではなく、炊飯、料理など使用量が多い方には据置型が最も適しているのではないでしょうか。
浄水機能にとどまらない電解水生成器
プランビーの電解水生成器は据え置き型に分類されます。 浄水機能を兼ね備えており、浄水フィルターには塩素や赤サビはもちろん鉛除去機能の付いた高性能フィルターを標準装備しています。
そしてただの美味しい浄水だけではなく、水を電気分解することによって、胃腸症状の改善効果を認められた「還元水素水」や油汚れの掃除など、溶解力に優れた「強還元水」、高い除菌力を持ちウイルス抑制力に優れた「強酸性次亜塩素酸水」も必要な時に必要なだけ生成することができます!
高性能の電極板を採用しているため、十分な吐水量も確保しています。この性能を兼ね備えた電解水生成器は、高額で販売されていることが多いのですが、プランビーではレンタルで気軽にご使用いただけます!
浄水フィルターの交換目安は約1年で、レンタル期間中はレンタル特典として年に1回無料で交換していただけます。
まとめ
水源から、取水施設、浄水場、給水場を通り、各地に張り巡らされた水道管を通って家庭に届けられます。蛇口に届くでに数多くの行程があるおかげで”安心安全な水道水”が実現されるのです。
浄水場では、不純物が取り除かれ、殺菌消毒のため塩素(次亜塩素酸ナトリウム)が投入されます。塩素濃度は水道法で定められており、どの場所でも残留塩素濃度0.1mg/L以上でなければいけません。上限は1mg/L以下を目標値としていますが、明確な取り決めはありません。WHO飲料水水質ガイドラインでは5mg/L以下であれば問題無いという記述があります。
日本では、各自治体で残留塩素濃度を下げる取り組みが行われており、安心安全でおいしい水道水への意識が向上しています!
ですが、まだまだ水道水の塩素濃度が高いというのが現実です。
日常的に継続して塩素を除去するためには浄水器の取り付けがオススメです。浄水器の要である浄水フィルターはメーカーによって除去できる成分や処理可能量が異なります。簡易的な浄水器から高性能な浄水器まで、種類は様々です。
浄水器を購入される際は、ライフスタイルと予算に合った浄水器を選びましょう!
さらに、プランビーではアトピー性皮膚炎の原因とも言われるお風呂の塩素を除去できる風呂用浄水器もご用意しています。
髪や肌のお手入れに気を遣っているけど、イマイチ効果を実感できないという方は、もしかすると残留塩素が原因かもしれません。
実はキッチンに取り付ける浄水器に使用されている浄水フィルターのほとんどは耐熱温度:35~38℃以下と、お風呂で使用するには低い温度となっています。お風呂で浄水器を使用するにはお風呂専用の浄水器が必要なんです!
体に取り入れる飲用水の塩素はもちろん、肌や髪に触れる塩素にも目を向ける機会になればいいなと思います。
毎月一定額のお支払いで「快適水生活」を始めてみませんか?